雑誌の様に見て欲しい伝統色濃厚な中国富裕層の住宅内装(上)
引用した画像には所有者のウォーターマークがあるので、以下引用先の記載は省略させて頂きます。著作権は所有者に帰属し、当サイトでの画像引用は純粋に鑑賞する為のものであります。
伝統と言えば、昔からの職人を多く抱え、時代の流れで色薄れて行く中、頑なに守り続ける事は、かなり大変な事です。大変な事ではありますが、我々が歴史を顧みる時に、自分たちの根源を辿る時に、先祖代々伝わるものを理解するのに、それは必要不可欠なものです。
日本の伝統を守る職人たちと同様、この中国伝統を守っている中国の職人や関係者の皆さんに、敬意を以て、鑑賞させて頂きたいと思います。
一歩踏み込めば視線を釘付け
画像は何れも中国の広い敷地を有する豪邸や別荘から撮ったものでしょう。門を開けた途端、そこにあるのは、漆塗装の室内インテリアに、ため息が出る様な玄関ホールです。
濃い赤みのかかった茶色が、中国インテリアの伝統色であり、特に祭壇やテーブルセット等に使われる、光っている塗料は、高級塗料である漆です。日本ではお味噌汁のお椀に使われている、あの塗料です。
漆はしっかり乾いたら、ダイヤモンドよりも丈夫な耐性を持っていると言います。新築から1年以上経過したものは、乾拭きだけで、たちまち艶やかで滑らかな表面に戻り、実に丈夫で美しい、優秀な塗料なんです。
日本は何故食器で漆を使うのに、家具や内装には漆を使わないの?と考えて見たところ、恐らく理由の一つに、漆は燃えやすいからではないでしょうか。江戸時代は火事が多かったので、漆器は良く燃えたそうです。
それから漆は紫外線に弱いので、直射日光に当て続けると白くなるので、使用環境が大事です。この2点だけが漆の弱点ですが、ちょうど日本の密集した、採光重視の木造住宅スタイルでは、裏目に出ていたのかも知れません。
中国はレンガ造りの厳重な家屋が多い為、火事も直射日光にも強いので、漆家具に適していると思われます。漆家具は艶と言い、滑らかさと言い、色と言い、何れも最高級とされ、日常に愛でる事が出来れば、どんなに幸せかと思います。
漆と色以外に、中国伝統と謳えるものは、やはり格子状のインテリアデザインでしょう。壁や衝立、丸い形の出入り口を中国では「月亮門」⇒ムーンゲートと言いますが、全て格子造りで、図案も豊富にあり、縁起を担ぐものでもあるそうです。
金具を使った漆塗装の木製収納や、上がったり下がったりする天井の作り、まだ色々語りたい事が沢山ありますが、人それぞれ見ての感想があるでしょうから、次へ行きましょう。
人々が集まる大切なコミュニティ
中国の豪邸や別荘のリビングには応接機能を持つ「客庁」⇒客用ホールと、家族が日常気楽に集まる「起居室」⇒ファミリースペースがあります。
客用ホールには骨とう品や、高級な紅木家具を置きます。客人をもてなす事が好きな中国風習によって、大抵は上等な茶室や麻雀部屋が隣接しています。好きな骨とう品を眺めて、家のどこを見まわしても贅沢な漆塗装で、広々と圧迫感のない空間、長生きできそうですよね。
漆塗装でも、漆に混ぜる材料の違いで、異なる色を出す事ができるので、上記が代表的な漆塗装の色でしょう。個人的に黒い漆がとっても気に入っております。因みに漆塗装はしっかり乾いた後、表面の滑らかさからは想像できないほど硬く、簡単に傷つく事はないのです。
気になったので、ネットで検索した見た所、漆塗装の中国伝統家具やシノワズリのファンが多く存在し、中国伝統家具の彫刻や漆塗装の詳細について、熱く語っている方が結構いました。漆塗装の良さは、多くの人を魅了します。
お家で宴会しますか
中国ではお茶が良く飲まれている事を知っていますよね~でも、中国茶道は文化大革命によって消滅させられた教養の一つで、最近までは、ただお茶をがぶ飲みして、そのまま宴会をすると言う、茶室は宴会場でもありました。
それこそ市場開放される前、1980年代まで、中国では外食産業も国営でしたので、外で宴会場を探すのも大変に手間がかかる事でした。なので、中国人が自宅で宴会すると言うのは、結構日常にある事でした。
そう言う文化が続いたからか、豪邸や別荘には、普通のダイニングとは別に、茶室兼宴会場が備わっています。新進の画家や書道家に依頼した絵や書を、壁一面に飾るのがステータスの一つです。そして、互いに好きな画家や書道家の評価に蘊蓄を傾けます。
内装に使われる、しっかりした漆塗装の細長い木材が、デザインの重要なアクセントで、ゴシックスタイルにも似た、中華スタイルの典型ですよね。この目にも鮮やかなウッドラインは部屋にメリハリを与え、ボヤっとした空間をすっきりとさせ、生活に生き生きとした色彩を齎します。
家族用ダイニング
先ほどの茶室兼宴会場と違うところは何かわかりますか。同じく円卓を使ったり、長テーブルを使ったりしますが、徹底的な違いは、そう、「派手さ」がありません。中国は対外的に見栄を張るが、家族間では質素に過ごします。過度な装飾は日常では必要ないのかも知れません。
とは言え、漆塗装の家具とシャンデリアだけでも、日本的な感覚から見ると、充分に派手で、贅沢な空間です。まるで高級中華料理店の個室ですよね。黒っぽい漆塗装のダイニングセットが、なんとも言えない味を出しています。
中国茶道を嗜む本来の茶室
90年代以降、中国の市場開放によって、年配の生き証人たちから授かった伝統的な中国茶道が復活してから、本格的に中国茶道を嗜む人が増えています。
上記画像は本格的に中国茶道を嗜む人の茶道部屋です。伝統的な漆家具とともに、これまでになかった原木のテーブルセットや、天井の間接照明など、現代文化を融合させた新しいスタイルの中国茶道室となっています。
家具などの置き方も宴会場を兼ねた茶室とは違って、茶道部屋はどことなく、雅な雰囲気を感じませんか。本来の中国古典文化は、風流で雅やかなものが多く、それは骨とう品や芸術品からも見受けられました。ここでも漆塗装の紅木家具が良く似合います。
上記インテリア画像から、もう一つ大きな特徴に気づいてますか、中国もアメリカ同様、もともと家の中は土足で生活しています。掃除への配慮から、床は木板が少なく、メンテナンスがし易いプラスチックやタイルが多いので、漆塗装の紅木家具がより映えますね。
記事が長すぎると疲れますので、その他部屋と設備は次回の記事に回します。お楽しみにして下さい。
このような内装やインテリアの中国住宅は、どんな外観をしているか、気になりませんか?こちらの記事で答えが見つかります。