この分野を勉強した事はありませんが、最近、もしあの時代に自分が進路を選べる環境にあれば、もし大学へ進める事が出来れば、きっと「建築」を選んでいたでしょう、と言うくらいに、建築や内装にドハマリしています。人間の文化の造詣が如何に深いものか、人より長く歴史に残される建築物から、語りかけられている気がします。

    今日はネットで見つけたヴィクトリアン調の豪華バスルームの画像を集めて見ました。海外の人はどんなお風呂設備なのかと思い、画像検索をしていたら、「HOW TO BUILD A HOUSE」と言うブログで、見つけてしまいました。


    ビクトリアン様式の豪華なバスルームの画像に、目が勝手に泳ぎまくりました。いつでも眺めていたい気持ちになり、再度画像を探すのも大変だと思い、スクラッチブックの様に集めて置きたいと思いました。後で、全部がビクトリアン様式の物ではないと知りました。無知のなんとやらですねw

    知らないなら勉強すればいいと、色々検索して、そもそもヴィクトリアンとは何か、そこから勉強しました。


    ヴィクトリアン様式とは、ビクトリア女王治世の1837年~1901年、産業革命を経て経済最盛期を迎えたイギリスの繁栄で生まれた豊かな生活様式を言います。それは建築物や、家の内装、インテリア、家具、小物に至るまで、ビクトリアン様式の装飾は多岐にわたって多様にあります。

    装飾自体は古代ギリシャ風、ゴシックやバロック風、ロココ風のスタイルにも多く見られますが、ビクトリアン様式は突出し、後述のように、フランス宮殿で生まれたロココ様式と違い、国民レベルまで広がったスタイルなので、積極的に古代ギリシャ風、ゴシック風、バロック風、ロココ風のスタイルも取り入れていました。やがてイギリスの落ち着きのある国民性の中で、シックな色合いと上品で深みのあるデザインへと洗練され、成熟して行きます。

  


    ヴィクトリアン様式の建築と言えば、外観のデザインは特徴的で、勾配の急な屋根にブラケット、ゲーブル、額縁など多くの装飾や部材が使われ、他の建築様式にはない派手さが感じられます。それ故に数百年に亘っても愛され続け、アメリカのサンフランシスコに多く残ってヴィクトリアン様式の家は未だに数億円で取引されているそうです。




    上記3枚のバスルームも並外れたゴージャスさではありますが、ヴィクトリアン様式ではないようです。古典的なスタイルは他にも見られますので、ビクトリアン様式を見つけるには、女性らしい曲線デザインだけでなく、植物や動物の一部をモチーフにした、細やかな装飾を探すと良いでしょう。

    例えばこのすぐ上の写真の中では、浴槽の隣にある化粧台が近いイメージですが、足がだんだん絞られていますが、それ以外に特徴ある装飾は見られないので、ビクトリアン様式ではないと判断できます。まして、全体の浴室は良く見れば現代建築ですね。



    猫足のバスタブは19世紀のアメリカで大流行したスタイルでした。ヴィクトリアン様式も先ほど言ったように、獣の足をモチーフしていましたが、アメリカの流行はバスタブや洗面台などを除き、全体的な装飾は見られません。





    ヴィクトリアン調の生活スタイルは、宮廷生まれの王族や貴族のみが所有するものではなく、産業革命によって生まれたブルジョア層と呼ばれる、裕福な市民の間にも広まったもので、ここに集められた画像はたかがバスルームではありますが、ビクトリアン調の装飾を代表した実用性を兼ね備えた華やかさを重視したスタイルとなっています。

    デザインは緩やかな曲線を描いている部分があり、縁は立体的に見せる彫刻の装飾が多い、平面には細かく彫り出した模様がある場合もあります。洗面台の他に鏡台を置いている場合もあり、お風呂なのに、照明はゴージャスなシャンデリアを多く使っています。



    良く間違いられているものに、ロココ様式と言うのがあります。ヴィクトリア様式より約1世紀早く、フランスの王宮で生まれた生活スタイルです。装飾を多く施す事からヴィクトリア様式とみわけられない場合が多い様ですが、特徴を知れば、案外簡単に見分けられます。例えば上の写真の洗面台がロココ様式と言うものです。

    ロココ様式の装飾特徴は、植物の蔓や葉で構成する複雑な曲線にあります。タイトルに挙げたバスルームの内装ではありませんが、Pinterest から典型的な例を探して来ましたので、じっくり見比べ下さい。



    我々の実生活に役立つ事は少ないかも知れませんが、コレクションしたくなるほど歴史的文化価値のある画像です。

    東京には幾つかの有名な高級住宅地には日本の裕福層が集まり、中には東京都は思えないほどの広い敷地に、目を見張るような高級住宅もあるので、こんなバスルームを実際に使っている人がいるかも知れませんね。

    いずれにしても、筆者は絵画として鑑賞しているだけです。なお、これら過剰装飾スタイルのヴィクトリア様式やロココ様式の反動とされているのが、やはりフランス発、現代のモダンスタイルです。